曲の途中でつまずくたびに、また最初から弾き直していませんか?
最初の数小節は弾けるのに、同じ場所で止まる。止まるたびに最初へ戻るから、練習したのに「今日も先へ進めなかった」と感じてしまう。これは、大人の初心者さんによくある悩みです。
でも、毎回最初から弾き直さなくて大丈夫です。むしろ、止まる場所を小さく切り出して、途中から始める方が、その場所は直りやすくなります。
ピアノ講師歴17年・累計500名以上を指導してきたこぱんが、曲の途中で止まるときに、どこから・どのくらい練習すればよいかを3ステップでお伝えします。
結論:止まる場所だけを練習しても、ちゃんと曲はつながります
「最初から最後まで通して弾けないと、練習にならない」と思う方もいるかもしれません。
でも、最初から弾く練習と、止まる場所を直す練習は役割が違います。
| 練習の目的 | 始める場所 | 大切にすること |
|---|---|---|
| 曲の流れを楽しむ | 曲の最初 | 止まっても先へ進む |
| つまずく場所を直す | 止まる2小節の前 | 短く切り出して同じ動きを確かめる |
| 直ったかを確かめる | 少し前から少し後まで | 前後と自然につながるかを見る |
途中から練習するのは、曲をばらばらにするためではありません。苦手な場所だけを「通れる道」にして、あとで曲全体につなげるためです。
特に初心者さんは、最初から弾き直す回数が増えるほど、つまずく場所に着く前に疲れてしまいます。止まった原因を直す時間が少なくなるので、同じ場所で何度も止まりやすくなります。
よく、この練習を「部分練習」と言われたりします。多くの方は弾けない部分だけを練習してしまうんです。
でも、そこだけ解決できたとしても前後のつながりを確認しないと、また毎回同じところで止まりやすくなります。
なぜ毎回最初から弾くと、同じ場所で止まりやすいの?
最初から弾くこと自体が悪いわけではありません。曲の流れを感じるために、とても大切な練習です。ただ、止まる場所を直したいときに毎回最初から弾くと、次の3つが起こりやすくなります。
直したい場所を弾く回数が少なくなる
たとえば8小節目で止まるなら、1〜7小節目は何度も弾けるのに、8小節目は一度しか試せないまま練習時間が終わることがあります。苦手なところだけを短く取り出すと、手の動き・次の音・左右を合わせるタイミングを、落ち着いて確認できます。
「また失敗した」が残りやすい
止まった瞬間に最初へ戻ると、頭の中では「ここで失敗した」が何度も繰り返されます。大切なのは、止まったことに点をつけることではなく、止まった次にどう戻るかを覚えることです。途中から始める練習なら、「この2小節なら弾けた」という小さな成功を作れます。
曲の途中から入る力が育たない
家で弾いていると途中で手が止まることはあります。そのとき最初に戻らず、次の小節から弾き直せると、曲の流れが切れにくくなります。ふだんから曲の途中に「スタート地点」を作っておきましょう。
止まる場所を直す3ステップ
ステップ1:止まった場所の「2小節前」に印をつける
まず、止まった音そのものから始めるのではなく、止まる2小節前をスタート地点にします。いきなり難しい音から始めても、その音の前に手がどこにいたか、どんなリズムだったかが分からなくなりやすいからです。
すぐに探せない場合は、楽譜に鉛筆で小さな印をつけるのがおすすめです。方法は何でも大丈夫です。次に座ったときも同じ場所から始められるようにしましょう。2小節が長く感じるなら、最初は1小節前でもかまいません。
ステップ2:右手、左手と片手ずつにして、止まる理由を一つにする
途中で止まる理由は、いつも「指が動かない」だけではありません。
- 次の音の場所が分からなくなる
- 左手を入れるタイミングがずれる
- リズムが急いでしまう
- 指番号を見ようとして、目が追いつかなくなる
原因を全部まとめて直そうとすると、また手が止まります。まずは一つだけ選びましょう。両手で止まるなら、右手のメロディだけを2回。次に左手の動きだけを2回。どちらも確認できたら、ゆっくり両手で試します。
左手が難しいと感じる場合は、和音を全部押さえようとせず、いちばん低い音だけにしても大丈夫です。曲の流れを保ったまま、両手を合わせる入口を作れます。
ステップ3:止まる場所の「2小節後」まで弾いてから、少しだけ範囲を広げる
止まる音が鳴ったらすぐ終わりにせず、その後2小節まで弾いてみましょう。ここまで行くと、「難しい場所を越えたら次へ進める」という感覚が残ります。
- 止まる2小節前から始める
- 止まる場所を通る
- 2小節後まで弾く
- できたらスタート地点だけ少し前へ広げる
このくり返しなら、短い練習でも曲の真ん中を少しずつつなげられます。
練習中にまた止まったときの戻り方
練習中に止まってしまったら、最初に戻る前に、次の順番を試してみてください。
- いったん手を鍵盤から離して落ち着く
- 止まった場所の1〜2小節前に戻る
- 速さを少し落として、止まった場所だけを通る
- その後2小節まで弾く
ここで大切なのは、止まらない速さに落とすことです。速く弾く練習ではなく、つながる動きを覚える練習にします。3回試しても同じところで止まるなら、さらに小さくして大丈夫です。右手だけ、左手の低い音だけ、リズムだけ手拍子で確認する。小さく戻るのは後退ではありません。
今回かなり細かく書いているので、「え、そんなことまで必要?」って思うかもしれませんが、一旦試してみて自分に合うか確認してみてくださいね。
1日の練習で「通して弾く」時間は最後に少しでいい
途中からの練習だけでは不安な方は、最後に一度だけ、最初から通して弾いてみましょう。このときの目的は、間違い探しではありません。「途中から練習した場所が、曲の中で少しつながったかな」と確かめることです。
止まっても、できるところから先へ進んでかまいません。最後まで弾くことが難しい日も、今日直した2小節があれば、その練習はちゃんと前に進んでいます。
まずは、いつも止まる部分を見つけましょう
次にピアノの前に座ったら、いつも最初から弾き始める代わりに、最近止まった場所の2小節前に印をつけてみてください。「ここからでも始められる」と分かるだけで、練習は少し気が楽になります。
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プロフィール
元ヤマハシステム講師として10年・現在もオンライン講師として活動中/ピアノ指導歴17年・累計500名以上を指導。楽譜を読むことに苦しまず、一人ひとりが自分のペースで好きな曲を楽しめるよう、初心者向けの動画や楽譜を届けています。
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